花火【2012.09】
グループホーム第1 鈴木 美貴子

  ・空高く 上がる花火に 万歳で 今年も見たぞ 空に咲く花
  ・夏の夜に 輝くひかり 一瞬の 思いでばかり 心にとめて


 今年も矢沢農協の駐車場をお借りして銀河の里の花巻花火見物に出かけた。グループホーム第1第2と特養が合同で出かけるので、大人数になる。今年はグループホーム全員でという感じではなく、スタッフが誰と行きたいか、この人は花火見たいよな等を考えて行く人を決めた。私は、97歳の真知子さん(仮名)と行きたいなと思った。真知子さんは今年3月に入院して生死をさまよい親族を病院に集めたものの、その後奇跡的な復活を見せ、退院直後の田植えで活躍し完全復活をとげた。その真知子さんが、今年の花火でどんな表情を見せてくれるか、是非一緒に見に行きたいと思った。
 当日は早めに夕食を食べ、出かける準備をした。そろそろ車に乗り込もうとすると、真知子さんの姿がリビングになかった。もしかして部屋で寝る準備してるかも。あわてて部屋へいくと、すでに寝間着に着替えて布団に入るところだった。私は隣に座り、「真知子さん、今日花巻の花火だよ。今から見に行くよ。行こう!」と誘うと「寝る気でいたし、こったな格好になったもの」ともう寝る気が勝っている。「いや、大丈夫大丈夫、これ羽おればいいから」とやや強引にブラウスを着てもらう。すると嫌がることなく着てくれて「行きましょうか」と言ってくれた。やった ーと部屋からまっすぐ車に向かう。この車には94歳のミサさん(仮名)も乗る予定だった。昼寝をしなかったこともあってか、夕食頃からピリピリした感じが出ていて少し迷ったが、花火初の新 人スタッフ木間さんがミサさんと行きたかったこともあり、会場に行ってしまえば花火を楽しめるだろうととりあえず行くことになった。助手席に乗ったミサさんは「暗くなります」「どこに行くんですか」と不安な感じ。「今から花火見るよ」と言うとうなづいてはくれるが「まだですか」と待ちどうしい感じだった。花火大会が始まる30分前に会場に着いて待った。待ち時間が長く「花火見れるよ」とミサさんに言うと「見だぐありません!」と少々怒り気味になる。そのうちバスも到着して、人数がそろい雰囲気が高まった。私はミサさんと真知子さんの間に座った。
 花火が上がり始めると、ミサさんは「きれいだね」と拍手。真知子さんも「ほー」と驚いてにっこり。各部署で持ち寄った手作りのおやつを食べながら花火見物。車から降りるときには「見だぐありません!」と言っていたミサさんも、調子がいい時の「バンザーイ!!」が何回も出る。カメラを向けると「バンザイ!」をまたまたやってくれる。次の花火が上がるのを待つ時間ミサさんが手拍子をしていたので私も隣で手拍子すると私の隣に居た真知子さんも手拍子していた。一緒の感じが嬉しかった。そろそろ花火が終わるころ、真知子さんが帰りのことを気にし始めた。「大丈夫、私と同じ車で行くから」と言うと「はぁー、んで、いいね」とニッコリ。一緒に帰る人がいることで安心してくれて最後の花火も「ほー!!」と言いながら良い表情で見ていた。
 今年の花巻花火は90代の二人に挟まれながら思いっきり楽しませてもらった。
 これからも誰と何をしたいかという気持ちを大事していきたい!!そしてそこで起こって来ることをこころに残したい。
 
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