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参加者が雪だるま式に増えたこびる届け【2012.06】
デイサービス 太田代 宏子

 5月23日水曜日、この日は、ちょっと山奥にある米澤家の田植えだった。こびる(おやつ)を届けに行こうと、グループホームに声をかけると、この日は行かないということだった。デイサービスだけになるとスタッフが少ないので、道がよく解らなかった私は、田んぼまで行きつけるかどうか自信がなかった。ともかく田んぼにたどり着けなかったとしても、一緒にドライブを楽しめる人を2人くらい誘ってでかけようと考えた。そこで、農家だったサチコさん(仮名)と道子さん(仮名)を誘った。車への乗り込みを新人男性スタッフの高橋さんに手伝ってもらい、2人を車に誘うと、その流れに合わせて、フジ子さん(仮名)も靴を履いていた。2人の予定が3人になった。
 3人を送り出して、ホールに戻ると、正雄さん(仮名)が、清さん(仮名)と看護師の畠山さんと暖炉前の席で話し込んでいた。いつも、自分の田んぼを見に行くイメージで外に出る正雄さんなので、この3人が一緒に行ったほうがいいなと思った。これで6人となった。
 よし6人で出かけようと思っていると玄関で、隆二(仮名)さんが私の腕を掴む。「行くどこだっか?」と聞き「いいなぁ若い女性の手は温かい」とニコニコしながら、車に乗って「あなたは私の隣に」と誘ってくれた。「残念ながら私は運転手なんです」というと、隣のサチコさんの手を握って座った。ここで7人になった。
 トヨタグランヴィアは、8人乗りなので運転手の私を含めると、これで定員いっぱい。
 ころがそこへ、車に乗り込む人の動きをしっかり見ていたキミさん(仮名)も、「どこさいくの?オレもいく!!」と玄関に向かう。それではと、もう一台、日産キューブも増やして田んぼに出かけることになった。キミさんはスルリと座席に座った。それを見ていたお風呂上がりの辰也さん(仮名)も、玄関に出てきた。まだ3人乗れるので、辰也さんも一緒に行くことになった。
  辰也さんを送り出すと、ホールは、女性陣のテーブルは貴子さん(仮名)ひとりになってしまった。貴子さんが、車に酔わないか 心配だったが、誘うと、迷わず、行きたいと言うことで、定員はあと1人に。
 そこへ、義男さん(仮名)とグループホームからキリさん(仮名)がやってきて田植えに行くという。最後の一席をめぐり、ふたりにはじゃんけんをしてもらった。義男さんが勝ってキリさんは「くやしいぃ〜」と言いながらもお気に入りの高橋スタッフにエスコートされ、嬉しそうにグループホームへ帰った。
 最初は、今日はサチコさんと道子さんと私の3人くらいでこっそり行こうと思っていたのに、結局気がつけば13人になっていた。雪だるま式に膨れた人数のこびる届けに私はおかしくなって笑ってしまった。 田んぼに到着すると、義男さんは一番先に降りて、開放的に放尿している。とにかくみんな自由そのもの。辰也さんは、自分で歩いてまわり、苗箱を見たり、田植えメンバーに話しかけたりしていた。道子さんとフジ子さんは、草の上に座り、おやつを食べてニコニコ。貴子さんは、義男さんのとなりで一緒におやつを食べ、義男さんの話を聞いて笑っている。
  隆二さんは、田植えとはちがうイメージで出発したが、サチコさんと田植え作業を見ながら楽しそうに話しをして過ごしている。清さんは、ムードメーカーで車内でも田んぼでも話の中心になり、キミさんを中心に女性陣が話を聞いていて盛り上がっていた。
 正雄さんは、最初「よその田んぼなんかみてられねぇ」と不機嫌だったが、そこに、田植えの親方、ワークの哲哉さんが来てくれて、話しこんでいるうちに正雄さんもまるで最初から田植えメンバーの一員だったようにはまっていた。
 5月から、新体制のスタッフで、動いてきた。まだまだ、力不足で、不安な日もたくさんある。でもそんなときには、逆に利用者さんが助けてくれるように感じる。こちらの力量をしっかり見ていて、手加減したり、自然に一緒にすごしてくれたりする。今回の、雪だるま式に増えたこびる届けの人数は、「もっと出来るはずだよ」と背中を押された感じがした。このように利用者さんにおんぶに抱っこで頼り切りの毎日だけれど、そのうち成長して力をつけ、楽しめる時間をたくさん増やしていくことで恩返ししていきたい。
 
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