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今月の一句【2012.02】
グループホーム第2 鈴木 美貴子

【初もうで】
 ・初もうで 拍手バンザイ 太鼓ドン 神様たちの 神様もうで
 ・初もうで 拝んだ後は 安心で いがったなぁと 夢をみる



 年末年始は感染性胃腸炎が流行って厳戒態勢をとったので、正月気分を味わえないでいたが、全員の体調が戻ったので1月16日に熊野神社に初詣に出かけた。久しぶりの外出だったが、車の乗り降りもみんなスムーズだった。
 神社では、鈴を鳴らし2礼2拍手のはずだが、2回では終わらず念入りに手をたたいている人もいる。極めつけは「バンザーイ!」をした守男さん(仮名)。さらに賽銭箱を太鼓のように叩いてまるで祭りだ。守男さんらしい参拝をカメラに収めた。
 98歳の豊さん(仮名)も、車いすから立ち上がり、手を合わせる。「拝んだ」と満足した顔でまた車いすに座る。帰りの車の中も「いがったな」「いがった」と何度もつぶやいていた。歩さん(仮名)は一度賽銭を入れて拝んだ後もう一度「拝んでもいいっか?」と丁寧に拝む。  クミさん(仮名)は「おめさんも拝んで」と他の人への気配りをしっかりやっている。
神社でみんなで記念撮影。今年はどんな年になるのかな・・・。新しい年がはじまった!


【どんと焼き】
 ・どんと焼き スタッフ巫女で 幸願う 今日は神様 明日は何様
 ・あたるのは バチか棒か くじ運か 今年1年 体当たり年
 ・神様に 合わせる手には 祈りあり 信じる心 開ける気持ち



 1月26日に、どんと焼きをやった。今年の巫女は去年に続きスタッフの二唐さん。衣装も決めて拝む時に振る 幣束(へいそく)も用意した。
 利用者の久子さん(仮名)に、スタッフの寛恵さんがどん と焼きの予定を伝えると久子さんは「みっき来ねえのっか?神様のことなんだじゃ」と言った。みっきは私のことだが、当日は休みに当たっていたので「来ない・・かな・・・」と寛恵さんが応えると、久子さんは「来ねえばバチあたりなんだ」となり、さらに「来ねえって言った人がバチあたりなんだ」と寛恵さんにとばっちりが行ってしまった。
 当日、私がグループホームに行くと、久子さんはちょうど準備をしているところだった。いつもの帽子は脱いで、外出用の上着を着ていた。私が他の利用者さんの準備を手伝っていると「人のはいいんだからおめも着るんだ。美奈子(二唐)きてらじゃ、教わってやればいいんだ」と言い、寛恵さんにも「3人でやればいいんだ」と言った。さらに「矢沢(寛恵)きてねえじゃ」と言うので「来てるよ」と応えると「着てねえじゃ」と、巫女さんに扮する、はかまを着ていないと久子さんは言いたかったらしい・・・私と寛恵さんは・・・???どうする???・・・というかんじになった。(来年は3人で・・・巫女???)
 行事にはあまり参加しない久子さんだがどんと焼きは違う。彼女にとってどんと焼きは、神事で、真剣に臨むべき儀式なのだ。会場で久子さんの隣に私が座る。巫女さん役の二唐さんもすっかり巫女さんの顔になる。そして、「払いたまえ〜」と幣束を一振りすると4本のうち2本が飛んで行った。一同、飛んだ紙を目で追いかけたが、誰1人として真剣さを崩すことなく動揺もなく儀式は続いた。二唐さんの巫女さんが一人ひとり拝んでいく。久子さんのところに巫女さんが近づいてくると「神様来た。神様」と小声で言っている。いつもは「美奈子ちゃん」と呼んでいるが、巫女さんになれば、すっかり“神様”なんだ。「払いたまえ清めたまえ〜久子さんの健康を願って、払いたまえ〜清めたまえ〜」と拝んでもらって「ありがとうございます」とおじぎをする久子さん。甘酒を飲んで車で戻ったが、戻る車中でも手を合わせ拝んでいた。
 翌日、久子さんは久しぶりにベランダに出ていた。話しかけると「昨日のあまこ美味しかったな」と言う。「あまこ?」と聞き返す。どんと焼きに出た甘酒のことのようだ。「あまこよ。すーっとしておいしかった。」どんと焼きの後から久子さんがベランダに出ることが多くなった。
 
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