トップページ > あまのがわ通信 > 2011年11月号 すごい晴れ女

すごい晴れ女【2011.11】

グループホーム第2 鈴木 美貴子

・鉛色 どんより曇る 稲刈りに 青空描く 秋晴れのひと


・晴れ女 曇り空をも 晴れにして ぬかる田んぼに 人々映えて

 
  銀河の里恒例の稲刈り。デイもグループホームも特養も、働き頭のワークステージも集まって手刈りで稲刈りをする。特養が始まって銀河の里も大所帯になったので、午前と午後に分けての作業だが、たくさんの人が田んぼに集まる。毎年大いに盛り上がって、いろんなエピソードが生まれるのだが、今年は稲作作業の失敗もあって、雑草にやられるし、稲刈りだと言うのに、田んぼは水にぬかっており、歩くのも田植えよりも歩きにくいような圃場で、高齢者の稲刈りには最悪といった状況だった。おまけに天気もその状況を反映したかのようなあいにくの曇り空。晴れやかな収穫の秋とはかけ離れた、気持ちまでどんよりしてしまうような寂しげな稲刈り日よりになった。
  私が利用者と田んぼにつくと、すでに稲刈りがはじまっていた。刈り取ったところにコンパネを敷いて、車椅子に座ったみんなが手刈りをしたり、刈った稲を束ねたり、束ねた稻束をはせにかけたりと作業が進んでいた。
 そんな中で稲刈り作業を見ているコラさん(仮名)が私の目に入った。コラさんは、今は特養に移ったが、4年間、私とグループホームで共に過ごした仲だ。コラさんは自分で「おらは晴れ女だからおらが出かける時は絶対晴れるんだ」とよく言っていた。コラさんは、雨の日や寒い日は出かけないので結果的に晴れ女になってしまうのだが、「おらが出かける時は必ず晴れる」と確信する自称晴れ女のコラさんが田んぼの真ん中にいるのを見て、私は驚いた。そしてなぜかとても嬉しい気持ちになった。  
 私は思わず「みっちゃんも来たよ」とコラさんの隣にとんでいって話しかけた。するとコラさんは、どんよりとした今にも雨の降りそうな曇り空を見上げて「ありがとうー青空!!ありがとうーみっちゃん!」と叫んだ。いつも「目が見えない」と言っているコラさんだが(本当のところ、見えているようにも思える)・・・コラさんの目は今日ははっきりと青空を見ていた。今年の稲刈りを秋晴れの小春日和のなかでの稲刈りにしてくれた。やっぱりコラさんは晴れ女だ。しかもこんな日さえも快晴にしてしまえる晴れ女とはすごい晴れ女だ。私の心にも青空を広げ晴れ晴れとさせてくれたコラさんの晴れ女に感激。ありがとうコラさん。
 
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