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1,400km離れた南の風を受けて 〜おごっそ蟹焼売完成までの道のり〜 【2011.08】

ワークステージ 米澤 充

 ワークステージ惣菜・食品加工班が製造している餃子・焼売は、昨年開所した食品加工場内で製造されている。この加工場は大型冷蔵・冷凍庫や24時間空調を整備し、衛生的なクリーンパネル設計で全国的にも施設で保有する生産工場としてはトップクラスの食品加工場なのだが、昨年メディアで何度か紹介されたものの販路拡大には至らなかった。
 加工場を開所して2年目を迎えた今年は、今までと異なる変化が起ころうとしている。


 食品加工場は日本財団の助成もあって開所する事ができたのだが、その日本財団が企画する「真心絶品」プロジェクトへ応募し、認定された。「真心絶品」は、これまでの“授産品”という旧態依存としたイメージを塗り替えるため、障がい者施設の製品の中から優れたものを厳選し、販売促進につなげるための“福祉施設製品ブランド化”プロジェクトである。餃子・焼売を安売り商品にしたくない我々の考えに、まさにマッチしたプロジェクトだ。
 2月の応募申請から4月の認定までの間に3.11の大震災があった。真心絶品として東北支援特集を組みたいとの依頼があり、4月22日に真心絶品推進委員会の浦岡さんと山口県宇部市の社会福祉法人 南風荘(なんぷうそう)の田畑さんが銀河の里へ取材に来られた。銀河の里の施設全体や食品加工場内での製造の様子など見てもらい、その後の取材で真心絶品のフリーペーパー“mappin(マッピン)”で商品の紹介をしていただいた。
 さらに後日、南風荘さんより連絡があり再び銀河の里を訪れたいという。「カニを送ります!」と突然言われ、「カニ!?」と急な話に驚く。山口県宇部市の瀬戸内海で取れる特産品おごっそ蟹(ワタリガニ)でカニ焼売を試作して欲しいとの商品開発の依頼であった。
 5月7日、田畑さんと新製品開発担当の谷崎さんの2名が銀河の里を訪ねてくれて、カニ焼売の商品開発の打合せをした。谷崎さんは「山口県宇部の特産品おごっそ蟹を全国ブランドとして認知させたい」とその熱き思いを語る。 山口県から2度も訪れるフットワークと谷崎さんの熱い思いに、山口と岩手のコラボ商品“おごっそ蟹焼売”を成功させたい!とこちらも熱くなる。
 施設単独では限界があっても、福祉施設間の横の繋がりを活かしたコラボによってその可能性は広がる。出会うことが無かったかもしれない遠く離れた施設同士が、お互いの良さを持って繋がり、コラボ商品の完成に向けて真剣に取り組む。想像しただけでワクワクする。震災によって失ったものは多かったが、震災を機に今回の施設間コラボ商品の開発という新たなフィールドを得られたのはとても心強い。


 さて、カニ焼売は、試行錯誤の末、お中元ギフトのセット内容に含められる程のクオリティに仕上がった。南風荘の反応も良く、記念すべきコラボ商品開発の第1歩は踏み出せたようだ。
 おごっそカニ焼売が完成できたこともあり、7月に我々も1,400km離れた山口県宇部市の南風荘を訪ねた(車で片道16時間!)。焼売に使用するカニの加工作業の様子を見学させていただき、初めて目にする足の青いワタリガニを見てきた。また南風荘の理事長や施設長ともお話する事ができ、今後のおごっそ蟹焼売の展望に話が盛り上がった。
 真心絶品のような福祉施設商品のブランド化、福祉施設間のコラボ商品といった動きが活発化し、施設商品がもっと身近なもので製造する方も購入する方もお互いがワクワクするものであって欲しい。南からの風を追い風として、おごっそ蟹焼売を全国的ブランドにする歩みが始まる。
 
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