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厨房の挑戦 自分たちで育てた野菜を食卓へ【2011.07】

厨房 小野寺 祥

 「厨房でも野菜を育てたい!!畑をやりたい!!」そんな思いが厨房スタッフにあった。“2011年2月号 厨房奮闘記 その参”でも取り上げたが、世間一般的には、厨房は各業者から買った食材を使って料理をつくる。だが里では、田んぼや畑を耕し、米、野菜を育てるところが基本にある。なんでそんな大変なことしなきゃならないのと思うかも知れないがここが大事なところだ。自分が作る献立の背景に田んぼや畑があり、みなで耕し、育て収穫し、調理して利用者と一緒に食べて味わい、それを生かしてまた献立を作る。このような経験は、なかなかやりたくてもできることじゃない。
 今まで、耕し、育て、収穫し調理し食事に至る流れのなかで、厨房は「耕し、育てる」というところにあまり関わってはいなかった。里で収穫された野菜をもらっていたのだが、せっかく畑も田んぼもあるのだから関わりたい。
 厨房会議で理事長が「今年はトマト作らないんだよ」と残念そうに言った。厨房としても里のトマトやピューレはとても重宝しているので、声をそろえて「トマト育てます!私たちも畑やりたいです!!」と叫んだ。畑や田んぼの真っ只中にいて、耕作栽培に触れずにいた違和感を厨房スタッフみんなが感じていたことにも驚き感動だった。
 数日後、ひとつのビニールハウスを借りて、厨房ハウスの挑戦がはじまった。私自身、畑をやりたい!との気持ちは強いものの、東京生まれで、岩手にきても街育ちで、知識も経験もない。なにもかもが初めての経験だ。土の匂い、ヒヤっと気持ちのいい土の冷たさ。こんなに土が気持ちいいんだって初めて感じた。普段なら服が汚れるのを気にするところだが、土おこしが始まると楽しくて、土で汚れるのはお構いなしで夢中になった。
 この畑からトマトのすべてがスタートする。植物の成長を日々感じ、夏には収穫を迎えみんなでそれを頂く。氷でギンギンに冷やしてみんなでかぶりつきたい。こんな料理も、あんな料理も作りたい!と気持ちも高まる。
 途中休憩でハウスから出て裏の土手に座り込んでみんなで休憩しながらお茶を飲む。そこから見えるながめのなんと心地よいことか。汗を流したからこそ見える絶景。畑に関わることで思わぬ経験が一杯できそう。
 毎朝、水やりを続けながら、苗が大きくなっているのを確認する。大きくなるとまた新しい作業が始まる。すべてが初体験だけに感動もありそう。銀河の里にきて3度目の夏。今年は今までにない経験がいっぱいできる夏になりそうだ。  
 
畝作りに汗を流す厨房メンバー



景色も堪能しながらの休憩
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