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総勢50名!銀河リンゴ植樹式【2011.05】

ワークステージ 米澤 充
 

 4月14日に特養ホーム北側にあるリンゴ畑で、リンゴの植樹式を行った。昨年4月に100本のリンゴの苗を植樹したうち、枯れてしまった苗を植え直すのと、リンゴ園の面積拡張による植樹を合わせて40本の苗を植えた。昨年の半分以下の本数ではあったが、天気にも恵まれ、車椅子の利用者も外に出るなど全部署から集まった職員・利用者はなんと50名以上にもなる大イベントとなった。 リンゴ栽培2年目を迎えたワークステージのリンゴ班は、元自衛隊員の職員、嶋さんの軍隊式指示のもと、植樹式に向けて苗を植える穴を掘ったり、支えとなる杭を打ったり、園地を掘って出てきた石ころ(というより直径50cm以上もある岩!)を片付けたりと、さすが2年目だけあってその慣れた手つきは頼もしい限りだった。植樹式当日も苗木を倒れないように支えたり、土かけや肥料かけなど、地味ではあるが裏方として活躍してくれた。 今年の植樹式では心も体も動いた利用者がいる。 リンゴ栽培の経験者でもある特養入居者の桃子さん(仮名)と祥子さん(仮名)は、昨年の植樹式では建物の中からの見学で終わってしまったが、今年は二人とも植樹式を前に昨年とは様子が違った。植樹を聞いて二人はそれぞれの思いで特養建物内から外へ出るきっかけとなったようだ。 グループホームに入居していた頃の桃子さんは、グループホームの裏にある畑で鍬を持ってガンガンと畑作業をしていた印象が強い。その姿は若いスタッフに引けを取らず生き生きしていたのだが、特養に入居されてからは「足が痛いから…」「すぐフラフラする」などと畑作業に誘っても外に出る事が少なくなっていた。ところが植樹式の話を聞いてから、外に出る機会が多くなった。外で歩く桃子さんと偶然会って、なぜ毎日歩くのか尋ねると「弱ってしまった足腰を鍛えるため」と答えた。どうやら去年の田植えで、足がふらついて田んぼにバッシャーン!と倒れてしまったのが桃子さんにとってよほどショックだったようだ。植樹式に備えて2週間、足腰を鍛える桃子さんの姿を毎日目にした。 一方、リンゴ園を一望できるユニット「すばる」に入居している祥子さんは、植樹式開催の旨を伝えると「本当にあそこさリンゴ植えるのか?あったな土じゃリンゴおがらねんだじゃ」といつものように厳しい指摘。しかし目の前に広がるリンゴ園がやはり気になるようで「私ここに来てから(銀河の里に入所してから)この畑を眺めているけど、いっこど実はならないし、草ばっかりおがってるし。この前外に出て見てきたけど、やっぱりあの土じゃねぇ〜。大丈夫かしら…」と気遣ってくれた。“畑の先生”の異名を持つ祥子さんからもらっ たその言葉は、なんだか特養敷地内でのリンゴ栽培を認められたかのようで嬉しかった。 植樹式当日、桃子さんの植樹式に対する意気込みは服装にも表れ、花柄の上下の作業着に、首には手ぬぐいを巻き、新しい手袋をつけてまるでお手本のような完璧な農業スタイルで決まりすぎていた。カチカチに固まった粘土つちに大変ではあったが、鍛えた足腰のおかげで植樹式の土かけをこなす事ができたようで、桃子さんも満足した表情だった。 祥子さんは1本1本愛情を込めながら丁寧に土かけをしているのが印象的だった。祥子さんは若い頃嫁にきてからというもの、旦那さんとリンゴ栽培をしてきたので、その大変さは分かっているはず。だからこそ、何十年と稼いでくれる1本の木に対し赤ちゃんをなでるように優しく土をかけていたのだと思う。植樹式ではあまり言葉を交わさなかったが、“畑の先生”が見せてくれた丁寧な土のかけかたに学ぶものは多いと感じた。 昨年植えた苗木のうち、秋に枯れかけていた木が、周りの木に比べ弱々しいものの懸命に葉を伸ばし、花も咲かせようとがんばっているので何とかしたい。昨年は20本も苗木を枯らせてしまった。「粘土つちだから排水が悪い」「猛暑のせいで雑草が伸びすぎ、草に負けた」などと環境のせいにして、その環境を変える努力はしていなかった事を悔やむ。 リンゴ畑に隣接した特養老人ホームは珍しいし、昔リンゴ栽培に携わっていた利用者も多い。この環境を生かし、リンゴ栽培を植樹や収穫のイベントだけに終わらせないようにしたい。3年後には立派な実を収穫できるよう、リンゴの木とともに成長していきたい。
 

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