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大葉ハウスからネギハウスへ【2010.11】
ワークステージ 関 脩

 10月初め、ハウスでは大葉の伐採作業が始まった。今回の伐採は大葉の植え替えの伐採ではなく、大葉最後の伐採となった。普段と変わらず淡々と伐採を進めながらも、寂しさや不安を感じている人もあり、新しい仕事を楽しみにしている人もありの、様々な感情が入り混じった伐採作業となった。

 銀河の里の大葉栽培は今年で8年目だ。今年は野菜の価格高騰のなか、こと大葉だけは逆の下落を続けてきた。特に、高値になるはずの夏に値段が上がらず、注文数も例年よりも少なく売上が伸びないばかりか、歯止めがきかない程の下落が続き頭を痛めた。
 景気の悪いなか、旅館業や、飲食業界の営業の低迷が続き、年々、高級食材の大葉は致命的な底値を記録し続けて来た。取引をしてきた市場からも「大葉を初めとするツマ物の時代はもう終わりました。」とまで言われ、厳しい現実をたたきつけられた。
 大葉の栽培は今まで長く手がけてきたことだし、働いている利用者もずいぶん慣れて、それぞれの作業のプロが育ってきていたため、栽培品目を変更するのはかなり悩んだ。
 しかし、これ以上、赤字を抱えながら栽培していくわけに行かず、何種類かの野菜を考えた結果、年間を通して値段と出荷量が安定している万能ネギに転換することを決めた。
 万能ネギはその名の通りどんな料理にも活躍できる野菜で、全国に6大ブランドが存在する。東北地方では宮城の仙台小ネギというブランドが一つだけで、生産者として東北に産地が少ない点で、有利だろうと考えた。
 実際に売り込みをかけると、引き合いもあり大手スーパーや市場での取引が決まり、11月より出荷も始まった。

 大葉と違って、万能ネギは長期の栽培ではなく、剪定や下葉取りといった細かな作業が無いため、誰でも作業に参加しやすく栽培管理もし易くなった。ただ、回転数が早いため、種蒔きの量の調整や苗植えのタイミングに難しさがある。
 万能ネギの栽培は始まったばかりで、天候による影響や、虫や病気に関して分からない点が多い。日々の作業の中で万能ネギを学んで行きたいと思っている。

 利用者にとっては8年もやってきた大葉栽培が終わるということは大きな変化で、大葉の結束のプロに育ってきた昌子さん(仮名)や秋子さん(仮名)は大きく心が揺れた。何度か「ネギの作業はやったことがないから、出来ません。不安です。」と話もしてきた。しかし作業を始めると、一気に仕事を覚えて、それが自信に変わり今では周りのメンバーに指示を出す程までになっている。

 これまでハウスを作って8年、大葉栽培で、単月での黒字はあるが、年間で黒になったことはない。万能ネギでは、これまでの赤字を何とか黒字に変えたい。来年度には、年間での黒字をめざし赤字経営から脱したい。この目標達成に向けて利用者と一緒に挑んで行きたい。

ネギハウスの様子
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