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平成19年の幕開け【2007.01】

グループホーム第1 板垣 由紀子
 

 今年も元旦は恒例の初詣。グループホーム第1では、入居して初めてのお正月を迎える方2名を含む7名と、スタッフ4名で、外泊2名を除く全員で出掛けた。
 家以外で初めてお正月を迎えるTさん。家の思いが強くあるTさんがどんな思いでグループホームで年を越すのだろうか?すんなりとは越せないだろうとスタッフは覚悟を決めていた。案の定、大晦日は「何でここで年を越すの?家で越すの当たり前だべじゃ。なして家族バラバラにするの?」と鋭い言葉と目で訴えてくる。その都度スタッフは対決を迫られた。暮れが近づくと、家に迎えに来るよう要求する電話を何度も入れた。(留守番電話が話を聞いてくれた)大晦日夕方やっと通じて「年越したが?こっちはまだこれからだ。寒ぐねようにしてや。寒ばではらねんでや。」と穏やかに電話を掛けるTさんが居た。
 明けて元旦、晴天に恵まれ、初詣にTさんを誘うと「何処まで行くの?」「車で石鳥谷の熊野神社まで・・・」と話すと「車で行ったって御利益ねんだ。あるがねば・・・」と辛口トーク。スタッフが部屋を尋ね一緒に支度して出てくる。よそ行きのコートとお洒落なマフラーをして「Tさん素敵」の声にはにかみながら微笑む。神社ではしっかり手を合わせ、おみくじを引いた。
 もう一人、初めてのお正月を里で迎えたSさん。みんなが出掛ける準備をする中「どごさいぐってや、こったな寒どき」と頑として動かない。全員が車に乗った後もう一度誘う。「誰もいねってが?息子どこだ?」と少し不安げに席を立ちなんとか車に乗ってくれた。神社に着き、車椅子に移ってもらい参道を押して歩く。本殿に進むと顔を上げ“熊野神社”の文字を見つめ静かに頭を下げる。「こごさ入れればいいのが?」とお賽銭をなげ、更に深々と頭を下げる。とても神妙なそして穏やかな顔のSさんがいた。参拝の後、暖をとろうと、たき火の側まで行くと「あぶねぐねが?燃えるんだ。」と言っていたSさんが、いつのまにか手を合わせ目を閉じていた(火の神様?)。自然の中に神様が居る、そんな自然と共に生きたSさんの姿を感じ私も手を合わせる。  
 今年も一年実感のある年になりますように・・・・
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