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笛のあねっこの笑い泣き夏祭り【2010.09】

特養ユニット「こと」 高橋 育美
 

 「いくちゃん、さんさの笛、やってみない?」銀河の里のさんさリーダー、厨房の祥さんから6月にさんさ隊での笛を担当しないかとのお誘いを頂いた。(さんさ、やりたいな〜、声、かかんないかな〜…)と秘かに思っていたので「やります!」と二つ返事でOKした。
 昨年の銀河の里の夏祭りにボランティアとして参加していた私。その時に見たさんさと、里のアットホームな雰囲気が(あ〜、なんかいいなあ…)と感じて、ここに入社することを決めた。1年経って今年は見せる側だ…嬉しいなあ。
 しかし「やります!」と言ったものの、小学校から習ってきたのは尺八でやるのは横笛(尺八より細いしちっちゃいし、穴はいっぱいあるし…うーん。)そもそも楽譜の読み方って一緒なの?…おっ、でも音はでる!よしよし、音さえ出ればなんとかなるっしょ…。家に眠っていた横笛を引っ張りだして独り言をブツブツ言いながら、さんさの笛っこ担当の道がはじまった。
 祥さんから楽譜を渡され、固まる私。楽譜は縦と横じゃ全く違っていた?おいおい楽譜の読み方覚える前に本番きちゃうよ…どうしよう…。
 楽譜を見てもどうしようもないことが判明したので、その後はさんさの笛の動画を見ながら聴きながらの“目と耳でコピー大作戦”に切り替えての練習。どの指で押さえるかすら分からない所からのスタート、見ては巻き戻し、見ては巻き戻し…わからん。さっぱり先に進まない。隣で練習している踊り子さんや太鼓さんはすぐに覚えてどんどん先に進んでるし…すごいなあ…。
 ある日ユニットで練習しようと、横笛をもってきた。椅子に座って笛をかまえると「おっ、なんだ、笛っこ?」とトミさん(仮名)が興味津々。「8月にお祭りあるでしょ?さんさの笛っこやるのよ、わたし〜」「んだってか!?」「んだ〜、さっぱり吹けねども、今練習してらがら、見さきてね。こっち(特養)でもやるから」「おお、楽しみだあ〜。いくいく♪」と、目をキラキラ!ミエさん(仮名)やスギさん(仮名)にも近づいて、なんとも言えないニカッ★とした笑顔で頷いてくれ、スギさんも「わかりました…」と優しいまなざしをくれた。
 横笛を手にとってずーっと観察していた武雄さん(仮名)。「この笛おめのが?」「うん、家にあったやつ」「んだっか…これよう、竹でここ締めるの難しいんだよな、穴っこも…。こいずはよ、1回乾燥させてからでねばわがねんだ、中は漆でな…」武雄さんの職人講座が始まってしまう。それでも最後に「見さいぐじゃ。」と言ってくれた。
 思いつきで持ってきてみたけど、ことメンバーの笛へのまなざしを感じたら、なんだか夏祭りと“こと”を繋げられたような気がして本番がすごく楽しみになった。
 そして、8月8日の本番。あまりに緊張してしまい、最初の演奏は酷い出来だった。極度の上がり症の自分。チキンハートめ。うわ〜どうしよう…このあと3回も演奏するのに…とかなり凹んでいた。その時“オリオン”の紀子さん(仮名)が見ていてくれたので「紀子さ〜ん!」と駆け寄った。紀子さんはすっごい笑顔で、わたしの手を握り「いがったあ〜!!!」と言ってくれるのでその瞬間いろんな思いがこみ上げてきて、思わず「ありがとう〜!」泣いてしまった。“オリオン”スタッフの美雪さんも「なんか分かんないけど、涙出た〜。よかった〜。」と言ってくれて、ああ、繋がってるんだなー。と無性に嬉しかった。
 そこでそっか、上手い下手じゃないんだな…と気付かされた。おかげで、あとはとにかく演奏している姿を見てもらおう!楽しんでもらおう!と楽な気持ちになった。
 輪踊りでは、最近体調が優れなくて笑顔が見られなかったエリさん(仮名)も、あれっ、エリさん、本当に体調不良?全然元気なんじゃない?って思ってしまうくらいの笑顔で、輪の中に入って一緒に踊ってくれるし、グループ第二の踊り番長、守男さん(仮名)は全身で楽しんでる!踊りが…終わってしまうのが嫌だと感じるくらいだった。
 特養でのステージ。“ほくと”では、利用者さんとスタッフが1列に並んで待ってくれていてそれだけでも嬉しくて、疲れなんて忘れて全力で吹いている自分がいた。終わった後は1人1人と握手することができて、いつもピシピシ厳しい感じのハルさん(仮名)が「ありがとう、素晴らしかった」と笑顔で声をかけてくれて、いつもは難しい表情が多い洋治さん(仮名)も「いがったじゃ〜!ハッハッハ!」と自分から手を出してくれた。フユさん(仮名)には拝まれるし(拝みたいのはこっちです)邦恵さん(仮名)は顔クシャクシャにして泣いてくれてるし…全員カメラに収めたい!と思うくらいのいい表情で、疲れは吹っ飛んでしまった。
 “オリオン”では、ミサエさん(仮名)が声をあげるくらい号泣してくれて、普段はすぐに夢の世界に旅立ってしまう文太さん(仮名)は1番ノリノリで踊ってくれた。我らが“こと”のメンバーのいい表情も、心のカメラにバッチリおさめて…★最後の輪踊りにはスタッフの晴一さんと酒井さんも飛び入りで参加してくれたりと、さんさ隊とスタッフと利用者さんが一体になっているという雰囲気がすごく素敵で、いい時間だったなあ。


 笛(尺八も横笛も)の演奏も、銀河の里のスタッフとしてもまだまだ「ひよっこ」の私だけれど、いろんな事への“思い”を忘れずに、成長していきたい。


 また1年後…今からさんさが待ち遠しい。

 

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