トップページ > あまのがわ通信 > 今月の一句 『贈り日(送り火)』


今月の一句 『贈り日(送り火)』【2010.09】

グループホーム第2 鈴木 美貴子
 


・送り火の 炎のなかに あのときの 語り尽くせぬ 思い出の日々
 

 グループホームの2階(事務所)の大掃除をした。今までの生活、退居した利用者さんと過ごした思いでの品(おもにメモ類)がいろいろ出てきた。とっておくには溜まってしまい、置き場がなくなるし、ただ捨てることもできない。それらを16日の送り火で天に送ろうということになった。燃やして胸の中にしまう。七夕飾りと松木を燃やし、思い出の品も燃やした。
 私自身、第1、第2両方のグループホームで生活してきて10年、いろんな出会いがあった。第1グループホームの物を燃やしながら、西川さんが「ミキちゃんも手掛けて」と声をかけてくれた。そのときある男性利用者Sさんの特別な日に男性スタッフが渡した一枚ののし紙が私達の目に飛び込んできた。「あっ」と私と西川さんは声をあげ目を合わせた。そしてあの日、その時の瞬間が思い浮かんできた。
 まさかこんな形で思い出させてもらえるとは・・・。送り火に送られてきた贈り物のように思えた。
 Sさんは、平成17年3月に亡くなられたが、その日、新年度に向けてスタッフで集まりを予定していた朝、Sさんが病院で亡くなった知らせが入った。私たちはSさんへの思いを持って集まり、Sさんと過ごした日々を語る会になった。それから毎年3月にはその時のスタッフで集まって会を開き、今年もそのメンバーで集まって食事をした。Sさんがこの会を今も繋いでくれている。何年経っても残るものがある。物として残るものもあれば心の中に残るものも・・・。心の中に残ったものは壊れたりなくなったりしない。
 

あまのがわ通信一覧に戻る

このページの上部へ


〒025-0013 岩手県花巻市幸田4−116−1
TEL:0198-32-1788 FAX:0198-32-1757
HP:http://www.ginganosato.com/
E-mail: