5月下旬、私は秋子さん(仮名)に誘われ、ハウスで栽培しているしそを使ってしそジュース作りに挑戦した。私がワークステージにきてから約1年経つが、秋子さんとは朝夕の送迎でしか接点がなく、ほとんど話をしたことがなかった。けれども、この頃どこか私を意識してくれているのか、「しそジュースいっしょに作ろうね」と誘ってくれたので嬉しくなった。
しそジュースはかつて銀河の里の人気商品で、私が銀河の里に来る以前からレシピは完成されており、商品としても売られていた。ワークステージの歴史のひとつでもある、このしそジュースを、利用者の秋子さんから伝授されることに、私は里の歴史を担う使命を感じて緊張した。
そのジュース作りの初日。秋子さんは自分でメモしたレシピを見ながら、手際よく準備していく。大きなボール2つ分の大量のしそを白い布の袋につめる。それを、クエン酸とお湯が入った鍋にいれ沸騰させる。すると、みるみるうちにきれいな赤紫の色になり、しそのいい香りが漂ってきた。私はその色の変化に感動し、理科の実験をしているような気分になる。秋子さんは少し得意げな様子で「きれいでしょ」と笑顔で話す。
ジュースを冷ましているときに、秋子さんが「やっぱり最初は大葉の責任者に飲んでもらわないとね」と、大葉ハウス担当の関さんに飲ませたいと提案してくる。さっそく関さんを呼び、記念すべき一番絞りのしそジュースを試飲してもらう。もちろん味はバッチリで3人の気分はウキウキ。「炭酸で割ったらおいしいよ」とか「ゼリーも作ってみたい」「夏祭りで売りたいね」など、いろんなアイディアが出てきて盛り上がった。その日作ったしそジュースはワークのみんなに飲んでもらったが、なにせ2年ぶりのしそジュースとあって、みんなで興奮しながら味わったのだった。
6月にもう一度作ったのだが、そのとき秋子さんから「里売りしたい」という要望が出た。「みんなに飲んでほしいんだ」と話す秋子さんは、今まで見たことがないくらい、いい表情をしていた。他にも「あの人とも作りたい」「しそ茶作ったよ」など、しそジュースをきっかけにいろいろ話しかけてくれ、私と秋子さんとの新たな関係も築かれていっていることを実感した。
今年の秋、今まで6年間栽培してきた大葉は生産中止となり、小ねぎ栽培へと移行する予定だ。秋子さんがしそジュースを作りたいという想いは、大葉栽培が終わってしまうことの寂しさや何か残したいという気持ちからなのかもしれない。そういった想いもあり、8月に行われる夏祭りでは、このしそジュースを販売することにしている。どのように秋子さんと準備し販売していくか、夏祭りに向けてワクワクしている。
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