トップページ > あまのがわ通信 > 笑顔に癒された誕生日ドライブ


笑顔に癒された誕生日ドライブ【2010.05】

特養ユニット「こと」 佐々木 勝巳
 

 どなたの誕生日も、その人に合った祝い方、喜んでもらえるように特別な一日にしたいといつも思う。4月はミエさん(仮名)の誕生日だった。事前に息子さんと連絡を取り合い、どうやってお祝いするか相談することができた。誕生日の当日は都合が合わなかったが、2〜3日前に面会に来てくださって、一緒に外出し、銀河で昼食を一緒に過ごしてくださった息子さん。息子さんの来里を心待ちにしていたミエさんに喜んでもらえて、こちらもとても嬉しくなった。誕生日当日には、今度はユニットのみんなでお祝いしようと、「ミエさん、何が食べたい? 中華そば?」「寿司もいいねぇ」などと、あれこれ計画を練り、みんなで楽しみに待つ。
 当日、天気も良く、絶好のドライブ日和。朝食後、いつものように居室に戻りベッドに休もうとしたミエさんに、筆談で「今日は寿司を食べに出かけるよ」と伝える。寝ぼけ眼だったミエさんの目がパッチリと開き、「本当に?」とびっくりした様子。すぐに外出用の服に着替え。以前、息子さんがプレゼントしてくれた“とっとき服”を身に纏う。すっごくウキウキしてる感じ!
 仲良しナツさん(仮名)とトミさん(仮名)も誘って、食いしん坊リーダーの小松さんも乗り込み、いざ出発。予定していたよりも多少の遅れはあったものの、本日の第一目的地、北上の「清次郎」に到着。ところが、なんと店はまだ準備中…。そこで俺の爽やか笑顔の交渉の甲斐あって、特別に開店時間より少し早く入店を許可してくれた。
 テーブルに座り、ミエさんとナツさんは「本日のセットメニュー」を注文。目の前にお寿司が届くと、二人は勢いよく食べ始める。真剣そのもので、声をかけても耳に入っていない様子。でも二人とも「おいしい♪」と笑顔だ。一方、食いしん坊だが、すぐに胃もたれするというトミさんは、単品で好きな物を頼み、じっくり味わっている。一同そろって腹を満たし、次なる目的地「展勝地」への道中、車に揺られながらみんな時折ウトウトと目をつむって気持ちよさそう。まだ桜は咲いていないけれど、観光バスがたくさん停まっており、「あら〜、車がいっぱいだねぇ」と驚くナツさん。 花見の下見もバッチリ、ウトウト一団を乗せ、裏道を通り、花巻方面へ車を走らせる。ナツさんの自宅の近くを通りかかると、「昔はね、ここら辺は林だったのよぉ」と語ってくれるナツさん。
 銀河に戻る前に、ミエさんの誕生日プレゼントを買うためにイトーヨーカドーへと向かう。事前に買っておいてビックリさせたい気持ちもあったが、ミエさんとなら一緒に選びながら買い物も楽しもうということだった。
 俺とミエさんとで店内をぐるり見てまわる。筆談しながら、「ミエさん、何かいいの、好きなのありますか?」と聞いてみる。すると意外な答え、「私、何もいらない。外に連れてきてくれただけでも最高の贈り物だよ」と! 言ってくれるので、すごく嬉しくなった。…このときは、プレゼントを決められず…(後日、スタッフで選んぶことにした)。
 さぁ、では銀河に帰ろう、と車に乗ろうとすると、ミエさんがビックリ発言!?「家に連れてってくれるんですよね? 帰るんでしょ」と! 思わず「えぇっ?!」と慌てる俺と小松さん。聞けば、ミエさんの胸中では「今日は家に帰れる記念日で、そのお祝いのために寿司を食べたり買い物に行ったりしたんだ」だったのかもしれない。
 「うーん…、どうなる? どうする?」と思いつつミエさんを乗せたまま、こちらもドキドキしながら特養に帰ってきた。「帰りたいモードが継続か?!」と玄関をくぐると、事務所に、ミエさん宛に荷物が届いていた。娘さんからで、ミエさんニッコリ。包みを開けると、服や手紙、孫さん作の絵が入っている! 誕生日ドライブの後での、最高のプレゼントに、今までにない笑顔で喜ぶミエさん。「帰りたいモード」もいつの間にかどこへやら吹っ飛んでいた(ナイスタイミングでした)。寿司も美味かったしドライブも楽しかった、何より利用者さんたちの笑顔に癒される。  
 

あまのがわ通信一覧に戻る

このページの上部へ


〒025-0013 岩手県花巻市幸田4−116−1
TEL:0198-32-1788 FAX:0198-32-1757
HP:http://www.ginganosato.com/
E-mail:l: