4月1日小雨模様の中”銀河りんご植樹式”が行われた。昨年の4月に開設した特養の北側に100本のリンゴの苗木を植えた。グループホームの私達は全員で見学に出かけた。歩さん(仮名)は幼いころよりリンゴの仕事をしてきたという事もあり、雨具を着て作業にたずさわり、他の8名は特養の中から見学した。
苗木を植える場所には、しっかりとした支え棒が立てられてあり、とてもわかりやすくて見事だった。手作り看板もあざやかで、遠くからでもよく見えた。
花の咲きわたるリンゴ畑を想像すると、ワクワクする気持ちが一層高まった。なじみのある”りんご”だが植える様子は見る機会がなく、みんな広々とした窓辺から興味津々と食い入る様に見ていた。
歌が得意なサエさん(仮名)が”リンゴの歌”を歌い始める。”赤いリンゴに唇よせて・・・”つられてみんなも歌い出し熱唱となったその時、車椅子で優雅に眠っていたピリカラ姫ことセイ子さん(仮名)もむっくと両足を立て、体全体で力強く歌い始めた。
昨年のクリスマス会の時”ローレライ”を粋に歌うセイ子さんに、魅力を感じていただけに、私はうれしくなった。
そこへスタッフがピアノで伴奏を始めた。ピアノが入って一体感が出た。さらに調子が上がっていろんな歌が出てくる。それに追いつこうとなんとか頑張るピアノ。”音は外れるが心が伝わる”という感じだったが、楽しい時を過ごせた。
植え終わると、ワーカーさん達が”がんばったよ〜”と、私達のいる窓辺にかけより自分たちの働きぶりを確認してくる。「ご苦労さん、見事だね。たいしたもんだ。ほら飲んで、食べて。」とねぎらいの言葉をかけ、おやつをすすめる高齢者の方々。とっても暖かい光景で、大事な時に思えた。
私は、なぜか幼い頃から写真を撮られるのが嫌いだった。カラー写真が世に出始めの頃、写真を撮ってくれるという人があって、私は特別な日にしか着ない、華やかなお振り袖を着せられ、撮ってもらった。嫌々なので、着物は綺麗なのに、自分の表情は悲しげだったのを覚えている。そんなだから、写真を撮るのも好きではなかった。子育て中の記念日も、自分の肉眼で心に焼き付けたいという変なこだわりでカメラを手にすることは少なかった。
ところがである、今回の植樹式は、気がつかないうちにカメラマンをしていた様で1時間に100枚以上撮っていて、その枚数を知った時は自分でもびっくりだった。
”この場面”と言うときに、これでもかこれでもかという気持ちでシャッターを押していた。この中の1枚か2枚納得のいくものがあればもうそれで満足と思っていた。
『見てくれる人あって働く力が湧き、働く人あって応援する気持ちが湧く』こんなことを感じたひとときは心地良く、尊いものに感じ、3年後の収穫は格別楽しみだ。
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