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おやつ作り【2009.12】

デイサービス 小田島 鮎美
 

 デイサービスでは、毎日3時のおやつをみんなで手作りしている。みんなで作るから、ある意味、完璧ではないものができたり、ハプニングが多々ある。
 クレープの日、サエさん(仮名)はボウルの中の生地を泡だて器でかき混ぜていた。あらかた出来上がり、スタッフが、道具を取りに行って帰ると(?)テーブルに置いてあった残りの牛乳が全部ボウルの中へ入れてしまって、ボウルはなみなみになっていた。「やられたー!」と笑うしかないスタッフをよそに、表情ひとつ変えずかき混ぜ続けるサエさん。それを見て周りのみんなも大笑い。結局、薄力粉を1kgも使い生地を調整。クレープの生地が大量だった。その後ハプニングを思い出しながら、みんなで大笑いでクレープをたべたのが、とってもおいしかった。ちなみに、翌日もおやつがクレープだったことはいうまでもない。
 レシピどおりにいかないこともしばしば。火加減の難しい焼き菓子は焦がしてしまったり、七夕の型抜のゼリーも、固まるはずのものが固まる気配もなかった。「失敗しちゃったかもしれない」とつぶやく私に、「失敗することもあるんだから!失敗しながら、だんだん美味しいものができてくる」とコウ子さん(仮名)は明るく励ましてくれた。失敗しても、みんなであーだこーだ言いながら、作ったものは笑っておいしく食べれるのが不思議だ。


 デイの利用が月に1回のナミさん(仮名)が来る日に限って、固いおやつができてしまい、「かでーっ!」と言われてしまったこともあった。でも、固いと怒りながらもお皿を見ると全部食べてくれて、味はよかったかな…?などと皿を見ると全部食べてくれて、味はよかったかな…?などと思っていると、トイレで思い出したように「かでがったー!」と怒っている。「ごめんね、ナミさん」と謝るが「かでくて、わねがったー!」とトイレが終わったあとも「わねがったー!」が続く。
 ガチガチに蒸しあがってしまった失敗のかまもちを前に、ナミさんと私がしょんぼりしていると、周りが盛り上げてくれてなんだか楽しい雰囲気になって救われたりする。たまにやったー!とにんまりするほどの、プリンケーキやわらかく焼きあがって納得できるときもある。ナミさんも、もくもくと食べている。「おいしい?ナミさん?」と期待いっぱいで聞いてみると、私の方を見もせず、一口かじったケーキのかけらを皿にペシッと投げつけてさらに、もぐもぐもぐ…。“美味しいんだ”と私はにやりと笑ってしまう。
 みんなで作り、みんなで食べるおやつは、特別においしい。いつか聞いたことのある話なのだが、美味しく食べる家族の顔を思い浮かべながら、“おいしくな〜れ”と想いをこめて作ると、美味しい料理ができるのだそうだ。私にはそのように想いを込める気持ちの余裕がないことが多いが、毎日できあがるおやつはやっぱり美味しい。それは、みんなの想いや笑いがいっぱい詰まっているからなのだと思う。
 


息の合ったおやつ作り
 

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