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みつさんち日記【2009.10】

ワークステージ 日向 菜採
 

  9月27日(日)、最高の秋晴れ。
 グループホームみつさんちの9月生まれ、憲武さん(仮名)、弘道さん(仮名)、広一さん(仮名)の誕生会で、利用者8名、スタッフ5名で、盛岡方面へ出かけた。
 まず、最初に盛岡手作り村。地域の伝統工芸品が展示され体験コーナーもたくさんあった。南部せんべいの手作り体験コーナーもあり、平さん(仮名)を筆頭にみんなで手作りせんべいに挑戦した。歯の悪い洋司さん(仮名)は初め、「固いからな〜」と遠慮していたが、「焼きたてだからやわらかいよ」と言われ、挑戦することに。生地が入った鉄板を30秒ごとに6回ひっくり返して完成。ピーナッツが入ったやわらかく甘いせんべいができあがった。洋司さんは笑顔でそのせんべいをほうばっていた。
 手作り村をあとに次は岩手山の麓にある相の沢キャンプ場に向かう。そこでは持ってきた二子のさといもで芋のこ汁を作ることにした。利用者と男性スタッフは、森の中の原っぱで野球をはじめた。以前、弘道さんに「誕生日会なにかしたいことある?」と聞いたとき、「思う存分野球がしたい」と話していた。8月に海に行ったとき浜辺でキャッチボールをしたのが好評でまたやりたいと思っていたようだ。プラスチックのバットとボール、木の枝でつくったベースで、白熱した試合が繰り広げられた。広一さんのバッティングは素晴らしく、片手でバットを振って遠くまで飛ばしてしまう。それを必死でキャッチしようとする中条さん(仮名)や、普段見たことない素早い走りでボールを拾いに行く洋司さん、そして真剣な表情でバットをかまえる弘道さん。60代と50代も交え無邪気に遊ぶ彼らを、私は昼ごはんをつくりながら、なんだか母親になったようなあたたかな気分になっていた。
 芋のこ汁が完成し、青空のもとで昼ごはんを食べた後、プレゼントを渡すことに・・・。今年の春から銀河の里にきた広一さんと弘道さん。グループホームみつさんちにきて初めての誕生日プレゼント。弘道さんは大好きなカーペンターズのCDを送られて、一瞬表情も動きもかたまってしまった。そのあと「・・・いいんですか?」と言って驚いた顔でこちらを見て、「今までで最高のプレゼントです!」と喜んでくれた。広一さんにはセーターと作業用のバックか?」と言って驚いた顔でこちらを見て、「今までで最高のプレゼントです!」と喜んでくれた。広一さんにはセーターと作業用のバックがプレゼントされ、「実はこういうのもらったことないんだよ。ここ(胸のあたりをたたいて)がバクバクして泣きそうです」と感激していた。50代のふたりは他の利用者よりも生きてきた時間が長い分、誕生日を祝ってもらう機会が少なくなっていたのかもしれない。私は広一さんにセーターをプレゼントしたが、広一さんは私の父親と同年代で、しかもふたりとも9月生まれ。ふたりのプレゼントを同じお店で買った。なんだか不思議な気分だったが、実の父親とは普段できないケンカを、広一さんとは頻繁にやっているこの関係も意外と味なものだ。
 芋のこ汁をたらふく食べ、食後にも野球をして・・・今度は疲れた体を癒しに網張温泉へ向かった。温泉好きばかりのみつさんちメンバーとスタッフは、温泉で体を休めたあと、帰路についた。
 花巻に戻ってくる途中に寄ったコンビニで、今日参加できなかったスタッフに偶然会った。数日後、そのスタッフが「コンビニで偶然会ったとき平さんがいい笑顔をしていた」、「それを見ただけでとても楽しかったことが伝わった」と話してくれた。平さんは一人で過ごすことが多く、出かけることはあまりない。外出に消極的だったのだが、今年の七夕には・・・「がんばって働いてお金をもらって、いろんなところに連れてってもらえますように」と書いていたそうだ。それを知って心の底から「行ってよかったな・・・」と胸が熱くなった。普段はなかなか見せない平さんの笑顔は、素直なうれしい気持ちの表れだと感じた。ただ「楽しかった」思い出で終わるだけでなく、利用者の心が動く記念の会にできればと思う 。
  翌日メンバーは仕事をしながら「次の誕生日会はどこにいくか」と盛り上がっていた。弘道さんが「次の誕生会はなにするっすか?」と私に聞いてきた「次はまだ2ヶ月も先だよ!?」とつっこみをいれながら、私も次の誕生会を楽しみにワクワクしている。
 


せんべいうまく焼けたよ



手作り村でせんべい作り



森の原っぱで野球



芋のこ汁をみんなで

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