8月23日、夏の終わりを感じさせないくらい最高の晴れ日和。
グループホームみつさんちでは、中条くん(仮名)と雄二さん(仮名)の誕生日会のため、利用者9名、職員6名、総勢15名の大世帯で陸前高田・高田松原に出かけた。今回の誕生日会は、主役の中条くんたっての「海に行きたい」との願いに応えたものだった。
海に着いて早々キャッチボールが始まる。いつもはワークステージの玄関前の狭い場所でしかできないキャッチボールが、その日はどんなに高く、どんなに遠く投げても、誰にも怒られないし周りを気にする必要もない。みんな大はしゃぎで思いっきりボールを投げ、思う存分楽しんでいた。
海水浴は難しいと思っていたが、その日は日差しが強く、気温が高かったこともあり、かろうじて海に入ることができた。宮古市出身の隆くん(仮名)は、海育ちのため海水浴をとても楽しみにしており、ばっちり海水パンツを用意していた。海で楽しそうに泳いでいた隆くんを見て、広一さん(仮名)や中条くんが「俺も持ってくればよかった〜冷たくて入れないと思ってて」と悔しがっていた。
海水浴を楽しんでいる一方で、海釣りに挑戦したグループは「釣った魚を焼いて食べよう」と意気込んでいたが、結局、収穫ゼロ。けれども、釣りのやり方を教えてもらいながら悪戦苦闘する敏夫さん(仮名)や、釣りをしている姿が妙にかっこいい広一さんなど、無我夢中で釣りをしている姿は、普段の生活の中では見ることはできない一面だ。
夕日が傾くまで海を満喫し、帰りの車の中ではみんな疲れ果て、夢の中へ…。
この誕生日会の2日前、広一さんが、気分が乗らないので行かないと言い出した。けれども、「広一さんが行かないなら俺も行かない」と寂しげに話した中条くんを見て、「主役が行かないのはまずいよな…」と少し困った顔をした広一さん。誕生日会当日は参加してくれ、中条くんといつもどおり冗談を言い合いながら、みんなを笑わせてくれた。共同生活の場でお互いを気にかけて、どこか見えないところで繋がっているのだろう。広一さんと中条くんのやりとりからやさしさが伝わってきてなんだか心が温かくなった。
|