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みつさんち日記【2009.09】

ワークステージ 日向 菜採
 

 8月23日、夏の終わりを感じさせないくらい最高の晴れ日和。
 グループホームみつさんちでは、中条くん(仮名)と雄二さん(仮名)の誕生日会のため、利用者9名、職員6名、総勢15名の大世帯で陸前高田・高田松原に出かけた。今回の誕生日会は、主役の中条くんたっての「海に行きたい」との願いに応えたものだった。
 海に着いて早々キャッチボールが始まる。いつもはワークステージの玄関前の狭い場所でしかできないキャッチボールが、その日はどんなに高く、どんなに遠く投げても、誰にも怒られないし周りを気にする必要もない。みんな大はしゃぎで思いっきりボールを投げ、思う存分楽しんでいた。
 海水浴は難しいと思っていたが、その日は日差しが強く、気温が高かったこともあり、かろうじて海に入ることができた。宮古市出身の隆くん(仮名)は、海育ちのため海水浴をとても楽しみにしており、ばっちり海水パンツを用意していた。海で楽しそうに泳いでいた隆くんを見て、広一さん(仮名)や中条くんが「俺も持ってくればよかった〜冷たくて入れないと思ってて」と悔しがっていた。
 海水浴を楽しんでいる一方で、海釣りに挑戦したグループは「釣った魚を焼いて食べよう」と意気込んでいたが、結局、収穫ゼロ。けれども、釣りのやり方を教えてもらいながら悪戦苦闘する敏夫さん(仮名)や、釣りをしている姿が妙にかっこいい広一さんなど、無我夢中で釣りをしている姿は、普段の生活の中では見ることはできない一面だ。
 夕日が傾くまで海を満喫し、帰りの車の中ではみんな疲れ果て、夢の中へ…。
 この誕生日会の2日前、広一さんが、気分が乗らないので行かないと言い出した。けれども、「広一さんが行かないなら俺も行かない」と寂しげに話した中条くんを見て、「主役が行かないのはまずいよな…」と少し困った顔をした広一さん。誕生日会当日は参加してくれ、中条くんといつもどおり冗談を言い合いながら、みんなを笑わせてくれた。共同生活の場でお互いを気にかけて、どこか見えないところで繋がっているのだろう。広一さんと中条くんのやりとりからやさしさが伝わってきてなんだか心が温かくなった。
 


海をバックに集合写真
 




 8月25日、グループホームみつさんちの世話人 川村さんの誕生日。
 いつもごはんを準備してくれたり、掃除してくれたりと、利用者にとってとても大切な存在の川村さん。その川村さんの誕生日、中条くんの一言でプレゼントをあげようという話になる。私と中条くんでカンパを集める袋を作った。中条くんは最初、「いや俺無理だよ、できないよ」と自分が主体となることに弱音をはいていたけれども、夕方には「お金、一応みんなに説明して全員分集めたから」と報告してきた。中条くんのこんな頼もしい姿を見たのは初めてで、驚き感心してしまった。
 その翌日、私と中条くんと広一さんでプレゼントを買いに行こうとしていたところ、「俺も行きたい」と憲武さん(仮名)と明弘さん(仮名)も加わり5人でイトーヨーカドーに出かけた。中条くんからは「いつもエプロンしてるからエプロンがいいかなと思ってる」、広一さんからは「特養の厨房から帰ってくるとハンカチで汗をふいてるからハンカチはどうかな」と自然に意見が出てくる。「川村さんはよくピンクをきてるっけよ」「それだと子どもっぽいな」などと細かく意見を出しあい「これにしよう」と選び出していった。それぞれ真剣にプレゼント選びに集中する姿から心からプレゼントをあげたいという気持ちが伝わってきた。
 プレゼントを渡したとき川村さんはとても驚き、中条くんに「いつもお世話をしてくれてありがとうございます。みんなでお金をだして買いました。これからもよろしくお願いします」と言われて涙ぐんでいた。誰に言われるのでもなく発案し積極的に働きかけ実行する姿がとても頼もしく感じた。見せないだけでいろんな可能性を秘めていることを痛感した。
 グループホームみつさんち第2がスタートして4ヶ月。利用者が5人から10人に増え、一体感もできてきて、いろんな可能性が見えてきた。ぶつかったり、騒いだりの日々だが私も利用者もいっしょに、人とのつながりの温かい「みつさんち」をつくっていきたい。

 


これからもよろしくね!

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