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今年のもち米手植え【2009.06】

グループホーム第2 米澤 里美
 

 里では田んぼが7ヘクタールあるが、そのなかで2反歩はもち米を植えていて、毎年その一部を手植えをするのが恒例になっている。田植え機械で植えれば、あっという間に終わるのだが、そこに、わざわざ手植え分だけを残し、里の人々がわんさか集まって、もち米の苗を手で植える。そのわずかな手植えの空間に、大切な思いがある。
 米作りは日本の文化、里の命。そういう大事なことを里に住む人々の手で行い、ただのイベントに陥って薄っぺらにならないよう考えてきた。
 今年は、小規模特養とみつさんち第2が新設になり、新たな里の住人が増え、なんと一枚の田に約70人が集まった。事前にスタッフはミーティングを開き、安全の確保など入念な打ち合わせを行った。
 いざ当日。早朝に雨が降ったものの、田植えの時間には快晴となり、絶好の田植え日和り。小さな田んぼにじゃんじゃん人が集まる。利用者を乗せたワゴン車が3台、普通車2台が棚田に集まる。
 ワークステージの若者達が慣れない手つきでそろりそろりと苗を植えていく。グループホームのクミさん(仮名)と桃子さん(仮名)は、歩いて登場。田に入り、若者達の横で「そらぁ〜」と掛け声かけて手際よく植えていく。特養に住む祥子さん(仮名)は、「何十年ぶりに田んぼに出たわよ〜!」と田の脇で苗配り。新人スタッフも田に入り、利用者さんから苗を渡してもらったりしている。
 ちょうど米澤家に修学旅行の農家ホームスティに来ていた東京の中学生達も田んぼを見学にきた。「入って!入って!」と誘われ「泥って気持ちいい!」と中学生も仲間に加わった。田の脇には、利用者さんが車の中から見学したり、ベンチに座ったりして田植えギャラリーでにぎわっている。コラさん(仮名)の田植えの歌も聞こえてきた。 麦わら帽子にマイ長靴でやってきたものの、車の中にいた鉄也さん(仮名)。誘うと「田さ落ちるぞぉ!」と降りてきてくれた。田に入っていた新人スタッフの勝己くんに暖かいまなざしを送り、無言で肩に手をおいた。「ごくろうさん」とねぎらっているように感じられた。
 田植えが終わって、各部署で作った小昼を田んぼで食べる。「みんなでやれたんだから、今年は豊作になるわよ〜」と祥子さんが言う。こういう言葉や語りが生まれ、みんなの表情が自然と動くから、すごい。 新しい部署が増え、多くのスタッフ間で気持ちが繋がっていけるか、始まったばかりの今、不安がないわけではない。秋の「収穫」の日までには、スタッフも利用者も一緒に生きている実感で繋がって稲刈りができたらいいと願っている。



ごくろうさん!

 

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