トップページ > あまのがわ通信 > もちつきでお腹いっぱい


もちつきでお腹いっぱい【2009.06】

デイサービス 田代 恵利子
 

 銀河の里恒例のもちつき。前日から、草もちに入れるあずきの仕込みなど、準備で、スタッフが慌ただしく動いていた。デイサービスに通っている花子さん(仮名)は、よもぎの摘み取りから、そのあと4、5日かかった選別や、仕込みを手伝ってくれた。
  もち好きの利用者、スタッフ(?)のために臼だけでなく、餅つき機も使ってつくことになった。当日、もち米が蒸け上がる匂いがデイホールに漂ってくると、お昼前の私のお腹もグ〜と鳴った。
 朝から、一緒に来た人を探して玄関に向かったり、外へ出て落ち着きがなかった静香さん(仮名)も、その匂いに誘われて、もちつき機の中をのぞき込んでいた。傍らで、花子さんは手際よく、よもぎを入れ、作業に慣れないスタッフに教えながら、もち番をやってくれた。花子さんは昼前に出来上がった草もちを、固くなるからと、昼休みもせず、食後すぐ、大福作りにとりかかった。次々と色鮮やかな大福ができあがっていく。甘いもの好きの修さん(仮名)は、大福が気になり、いつもなら昼寝する時間なのに、視線は大福に。いつ食べられるのかそわそわしていた。
 そのうち花子さんの周りにはグループホームからも助っ人が集まり、あっという間に女性の城ができあがっていた。静香さんも、午前とはすっかり気持ちが切り替わり、手際よく丸め方をし、「あんこ詰める人、もち丸める人、てんでにやった方いんだ」と中心で仕切っている。いざ作業となると別人のように機転が利く姿が頼もしかった。
 デイホールの外では、昔ながらの杵と臼でのもちつきが始まり、威勢のいい餅つきの声が伝わってくる。昼寝から起きてきた良夫さん(仮名)も、外でのもちつきに参加。普段の力の入った感じとは違って、スタッフと一緒に杵をつく様子はとてもソフトだった。また、グループホームのミヤさん(仮名)がテンポよくえんどりする姿は普段はあり得ないことでみんなを驚かせた。「あだまさあ、おろすなよ〜」と尻込みして言って一同を笑わせたりもしていた。
 外から次々出来たての草もちが運ばれてきて、女性陣の大福作りのテンポも早まる。厨房では、なかなかふけないもち米に、スタッフが悪戦苦闘していたり、中も外も久しぶりのにぎわいとなり、他のデイサービスの利用者も、活気ある雰囲気に気分が盛り上がる。ミチさん(仮名)は、「正月のもちか〜」と言って笑っていた。
 みんなで協力して作った草もちは、百数十個にもなった。出来たてほやほやのもちをデイサービスでみんなでほおばった。よもぎの香りが口いっぱい広がって、とてもおいしかった。普段は見られない利用者の意外な一面が出て、みんなが一同集まって楽しい時間を共有できたので、私はお腹も気持ちも大満足だった。

 

あまのがわ通信一覧に戻る

このページの上部へ


〒025-0013 岩手県花巻市幸田4−116−1
TEL:0198-32-1788 FAX:0198-32-1757
HP:http://www.ginganosato.com/
E-mail:l: