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緊張の時、緊張の遊びで心を解きほぐす【2009.06】

グループホーム第1 西川 光子
 

 この4月からグループ1では4名の方の入れ替わりがあり”激動”の日々が続いている。この現場で7年目の私も、いままでにないドキドキ状態を味わっている。 だがこういう時こそ”遊びたい”と思った。以前よくやったジェンガを、このメンバーで、やってみたくなった。
 先月、着物を介して感性と価値観が合ったヨツ子さん(仮名)とミサさん(仮名)が、また隣同士に居合わせる。和服のヨツ子さんとおしゃれな洋服のミサさんの間にジェンガタワーをトンと立ててみた。
 二人は予想以上に関心を持ってくれ、「あ〜これね」とヨツ子さんは、さっそく三本の組木に手を伸ばしツンツン押し始めた。「これは何ですか?どうすればいいんですか?私初めてです。全くわかりません。教えて下さい。」と少しうわずった声で聞いているミサさん。わからないこと、知りたい気持ちをきちんと表現し、自分も参加しようという前向きな姿勢を感じながら、説明し一緒にやってみる。
 「は〜そうなるわけですね。なるほど・・・これは大変難しいですね。」語りながら挑戦していくミサさん。
 そのかたわらで「ちょっとここはダメだね。これやってみるか?〜 」とつぶやきながら、次から次へとやってのけるヨツ子さん。その様子を見て「あら、おばあちゃんお上手ね〜。どれどれ?」と相手をしっかり認めながらも、いくぶん義務感になっていくミサさん。
 この時、ジェンガタワーはかなりのピンチになっていて、ちょっとでもふれたら今にも倒れそうな状況。見ているだけで手に汗握る場面、ミサさんは、そーっと丁寧に一本抜いて、なんと!そこを乗り切ったのだった。「あ〜よかった、よかった」と張りつめた緊張から解放されるミサさん。
 次が私の番で、ミサさんの緊張をひきついでチャレンジしたが”ガチャ〜ン”と崩してしまった。「あらら・・・」とがっかりするミサさん。ヨツ子さんは「フフ・・・」と散った棒を淡々と集め、次への準備をしはじめる。
 その次もまた私の番でダイナミックに崩してしまったところで、それではと、今度はジェンガの棒を一本づつ並べて、ドミノ倒しをやってみることにした。テーブル全体にところ狭しとくねらせながら、二人とも真剣な面もち。ヨツ子さんが最初の1本を押すことになった。「いいかしら?やるよ。」とチョコンと押す。パタパタ・・・とリズムよく全部が倒れていく。 S字のような形が残って。”わあ〜”と拍手し”お見事、お見事!!”とミサさんもヨツ子さんも私達も大喜びで、ギャラリーからも拍手が巻き起こった。 是非ミサさんにも最初の一本を押す人をやってもらいたくて、もう1回並べ始める。 今度は、横一直線に並べて、それを端の方から1,2,3・・・と数えるヨツ子さん。途中からミサさんも数え始めて、やがて二人で声を合わせ、指さししながら数えていく。着物と洋服の二人が数える姿は和と洋が融合している様に感じられてとても興味深かった。いよいよミサさんが押す「いい?いいのね。こうね。」と念入りに確かめてちょっと触れる。一直線に倒れたジュンガのドミノは波模様が整然としていてミサさんらしかった。
 「ハハ・・・」とみんなで笑った。緊張、義務感をのりこえた「ハハ・・・」と優雅につき合ってくれたヨツ子さんの「フフ・・・」真剣なミサさんと、気楽なヨツ子さんの対照。二人のコンビネーションがほどよく調和した心地良い空気が、激動の只中の、私の心の緊張をほぐしてくれた。



いくつ倒れたのかしら〜?
 

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