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新たな一面・・・深まる関心【2009.06】

グループホーム第1 村上 ほなみ
 

 「ヨモギ餅作るんだけど、ちょっと助でけんねっか。」と何気なくミヤさん(仮名)を誘った。この1ヶ月間、気づけば私はいつもミヤさんの隣に座っていた。手を握り、2人で同じリズムを刻んでいるだけで、ほとんど言葉はない。それが居心地が良い。
 この時も、自然とミヤさんの隣で声を掛けていた。なんとなく雰囲気で断られるのがわかった。すると言葉でも「やんかじゃ。おら、そったなことしたことねーもの。足痛くてわがんね。」と丸めたタオルを抱きかかえ、赤ん坊をあやすかのように揺らすミヤさん。「やっぱり・・・今日はダメかな。」と思いつつ、“わらし”も一緒にならのってくれるのではないかと「わらしば私が預がるから」と声をかけてみた。
 するとなんとあっけなく“わらし”を私に預けるやいなや、嫌そうな顔は変わらないまま私の手を引いて玄関へ向かうではないか。これには私のほうが驚いた。玄関から外に出る前、私はこっそりと“わらしタオル”をソファーに寝かせた。ミヤさんは気が付かない。もう、餅つきのことで頭がいっぱいのようで、「寒いな。でも、餅つけば温かくなるもんな。」「手ぬぐい忘れで来たじゃ。持って来てけで。」と完全にその気で、私は手ぬぐいを取りに走る。ミヤさんは颯爽とその手ぬぐいを頭からかぶり、やる気満々。
 餅つきが始まると、ミヤさんは、合いの手を進んで引き受け、男の手がほしいとわざわざ呼ばれていた健さんのポジションを奪った。疲れたのではないかと「交代しようか」と声を掛けるスタッフには「わがんね、わがんね。」と言って譲らない。ここまで作業に夢中になっているミヤさんを見るのは初めてで、驚いた。写真を撮るのも忘れるくらい、私も夢中になって応援していた。餅つきが終わって「疲れたでしょ?」と聞くと「何こんなことで!!」と元気いっぱいのミヤさんだった。
 始まる前の嫌そうな表情が嘘だったかのように生き生きした顔になっていて、私まで元気をもらったようだった。出来上がったヨモギ餅を片手に「うんめぇがら食べらい」と近くにいるデイの利用者さんをもてなすミヤさんがいた。
 ひと月あまりのお付き合いのなかでも、ミヤさんはいろんな側面を私に見せてくれた。とまどうことばかりのグループホームの喜怒哀楽の激しい毎日の中で、一緒に笑ったり、怒ったり、泣いたりすることで、少しずつでも1人1人と関係ができていくのを楽しみに過ごしつつ、自分自身も成長していきたい。



よいしょー!




もちはもちや!?



たのむよ、たのまれるよ

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