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顔写真の撮影でのふれあい【2009.05】

事務 米澤 充
 

 銀河の里は特別養護老人ホームができた事もあり、職員が約70名、利用者が約120名(うち高齢者約80名)となり、一挙に200人もの顔と名前を覚えなければならなかった。事務がまず御家族からの電話を受けるので、私は利用者の顔と名前(プラス御家族も)を覚える事が必須なのだが、それが割と苦手な私は、悩んでしまった。そこで顔写真入りの社内用名簿の作成を提案した。ところがいざ写真を撮り始めると思わぬ困難が待ち構えていた。まだ職員の撮影は理解もしてもらえて順調に進んだのだが、利用者の撮影は大変だった。かたくなに拒否される方や、「なんだなにをする」と怒られた事もあった。カメラ(一眼レフタイプ)を持っていただけで逃げだす人もあった。ある程度人間関係を構築した後でないと確かに失礼でもあると感じて、ゆっくりとチャンス を待つことにした。
 職員とのツーショットならOKという方もあったし、写真を撮ってくれてありがとうと感謝してくれる方もあった。私もただ単純に顔写真を撮って歩いたわけではなく、どんな方か関心も持っていたからか、撮影の後はお話タイムが展開されて面白かった。特に高齢者の方々は若者に何かを伝えたい、伝えなければならないという思いが強いのだろうか話に花が咲いた。何人もの自分史を聞かせてもらって、その人に歴史あり!をまざまざと見せられた感じがした。
 「顔写真の撮影」という作業と考えれば、写真を撮ってさっさと事務所に戻り、パソコンで名簿作成をすればよいわけだが、拒否する人や、撮影をきっかけにコミュニケーションをしたい人や、撮影自体を喜んでくれる方がいたおかげで、単調な片付け仕事にならずにすんだ。


 「介護」という仕事自体が、作業や事務を淡々とこなすのではなく、利用者の人間像や個性、個人の歴史など、その方の全体の人生をイメージし、感じ、思いをくみとる必要がある職業なのであろう。
 今回はカメラという道具は事務の私と利用者との繋ぎ役として大きな働きをしてくれたと思う。事務員が、介護をするわけでもないのに利用者に近づき、いきなり世間話をするというのも何だか違和感があるが、カメラで近づきやすくなったと思う。結果、おかげで高齢者の方々の貴重なお話を聞かせてもらう事が出来て嬉しかった。
 今後も広報担当として、利用者の方々の個性や、歴史、気持ちに関心を持って関わって行きたいと思う。



 

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