里での一年を語ろうとすれば、「桃子さん(仮名)で始まり桃子さんで終わる」というぐらい、桃子さんと笑い、泣き、ケンカし、ものすごく濃い一年を味わった。グループホーム第一に桃子さんの声あり!のパワーは、時にクリーニング屋さんの異名を持ち農業では先生としていろいろなことを教えてくれた。桃子さんにとって「稼ぐ」ということが本当に大きな意味を持っていて、それ自体が桃子さん自体なのだと思うし、何より稼ぐ姿が一番キラキラしているなぁと思う。稼ぐのは自分のためなのか、桃子さんの稼ぐ後姿が大きくも小さくも見える瞬間だ。グループホーム第二への引越しを決めるまで、桃子さんの中で揺れ動くものはたくさんあった。それは担当であった私も同じだった。そんな桃子さんの引越しは、なんだか照れくさくて改まって言えなかったけれど本当はすごくありがとうを言いたかった私。でも今更面と向かって言っても、それは二人らしくないわけで。
グループホーム第二に行き、無理をしすぎる桃子さんが少し心配だけれど、桃子さんの新たな門出と同じように私にも新しい一歩を早く踏み出すばかりである。だが、一歩では間に合わないかもしれない、と思うこの頃。息の続く程度に走り出す、スタートラインに立ったばかりだ。
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