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残される辛さ、出会いの喜び【2009.04】

グループホーム第1 西川光子
 

 銀河の里の特養が開所になり、グループホームから3名の方が引っ越された。
 一緒に暮らしてきた日々がいかに濃いものであったかを、この別れを通じて痛切に感じた。引っ越しの当日、数年間の思いが一気にわき上がり、苦しくなるほど胸がいっぱいになり、感情を押さえることができなかった。 みんなそれぞれに思い出を語り、感謝をのべた。コメさん(仮名)は感傷的になっている私達を暖かな目なざしで見つめてくれ、腕をさすってくれた。そして手拍子をしてくれた。 言葉では伝えられない深いメッセージの手拍子だった。


 カツコさん(仮名)は手作りおやつを食べてからの引っ越しで「ここで一緒に食べるの最後か−−」とこれ又職員の方が感傷的になってしまう。言葉の少ないカツコさんなのだが“おいしい、おいしい”とこのときははっきり言葉で語ってくれた。まわりの人への気づかいをおこたらない姿が伝わった。ありがとうカツコさん。特養で職員の戸来さんを見た瞬間 “今日から 私の命上げます”と言わんばかりの奥深〜い微笑みをなげかけたのが印象的だった。


 私たちにジッと目で訴えていたハナさん(仮名)が、いきなり語った。「フフフ・・・好きなように考げてやれ!!」とニヤリ。別れの最後に力強いメッセージ。深いところを見抜いた数々の言葉をくれたハナさんありがとう。 覚悟はしていたはずだが、いざ迎えの車が来ると辛かった。車いすで乗り込み“バーン”とドアが閉まるその”音”に心が刺される思いがした。


 翌日、4月7日は新しい方を迎えた。ゆう子さん(仮名)のダンナさんが入居され、銀河の里始まって初の夫婦での入居となった。玄関に出迎えたゆう子さんは、ダンナさんの手を取り部屋へと向かう。そのゆう子さんの手を取って案内するスタッフ。その3人を見守るスタッフ。4人が一列になり、まるで大名行列の様にソロリソロリとリビングを通りすぎる。“ほんとにつながりの銀河だね”とほほえましく感じた。
 お部屋に着いてダンナさんの一声「これでやっと家さ来たな!!がまんしたよ!!」と声をつまらせ、溢れる気持ちが吹き出した。「父さん よくがまんしてけだな。あどはここでずっといれるな〜。ありがとや」とゆう子さんも声を震わせる。
 そのとき一列につながれた手が、丸く重なり合い、そのかたまりを溶かし固めるかの様にこぼれ落ちる涙があった。建物の“家”ではなく“心の家”であることに心を打たれた瞬間であったと同時にグループホームのすごさも感じさせられた。
 残される辛さの後にやってきた出会いの喜び。一生に一回しかないこの大切な出来事。しっかり心に収め、新たな気持ちで、全部署とつながりながらこれからも銀河の里らしく歩んでいきたいと感じた。 どうぞみなさんよろしくお願い致します。
 


手を取り合い、つながれた手・・・


大名行列の様にソロリソロリ・・・



 

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