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第一回里の音楽祭を終えて【2008.12】

デイサービス 藤井 覚子
 

 里の音楽祭のメイン、ジャズコンサートの担当になり、私にとっては初めて経験の連続で 、音楽祭を通して人・歌・音全てが新鮮で心に残った。特にジャズミュージシャンとの出会いは、私にとって異次元で非現実の世界に引き込まれる感覚で、刺激的 だった。
 音楽祭前日、ドキドキしながらミュージシャンの荒井さんと板倉さんを、新花巻駅で出迎え 、駅前広場でちょうど獅子踊りが披露されていたので足を止めて見物した。そのうち板倉さんの姿が見えなくなったので、周りを見回してみると、獅子踊りの後ろに座っていた。後 から「なんでも後ろから見るとおもしろいものなんですよ」と言われたのに妙に納得してしま った。芸術を追求してきた65歳の行動と言葉はさすがに深いと感じた。
 視点を変えることで、新しい発見があるということは芸術の面だけでなく、人間関係においても当てはまることだと思う。特に対人間相手の福祉の現場では、本当はマニュアルや型どおりな考えだけでは通用するはず はない。障害や問題点ばかり見てはその人の全体性は失われ、その人らしさも感じることはできないはずで、現場ではこちらがいかに多様な視点を持てるかが問われ る。
 今回のジャズコンサートのイベントの企画運営は私にとって、いろんな意味で自分への挑戦だった。特にコンサートでの司会では、極度の緊張で、最初の挨拶をしたとたん頭が真っ白になり、その状況に自分で驚いてしま った。司会進行も決められた言葉を棒読みでつなぐしかない私にひきかえ、逆にステージでは、自分を自由に表現していく荒井さんの姿。まさにフリーインプロビゼーションのライブで、言葉ではなく声で、複雑な感情や、色彩までを表現しているかのようで、その豊かな表現力に関心させられた。
 アーティストは音楽を通して表現をしていく。自分を表現している人というのはこんなにも輝いて見え、人を魅了する力があるのかと 驚きを隠す事ができなかった。板倉さんの繊細なピアノの音色と、林さんの優雅なベース音、その空間全体が自由で心地よく感じられた。2部ではトークも交えて荒井さんがお客さんと一緒に音楽を作ったのですが、その場で共に音楽を作っていく感覚は新鮮で不思議で楽しく感じた。
 コンサート後の打ち上げでも、ミュージシャンの生態をうかがえるような話や、それぞれの音楽の歴史の話などを聞くことができ、私にとっては、異界の世界の人たちとの出会いで、衝撃的で、今の自分とこれからの自分を確認し考える機会ともなり、貴重な経験とな なった。
 音楽祭の午前中は雨模様のあいにくの天候にも関わらず、昨年より多くの来場者があり、地域の方もたくさん来ていただき、里の祭りが地域に根差し始めていることを感じた。来年度から小規模特養も始ま る。里の音楽祭は地域の交流と、音楽や芸術の発信の場として展開していければと考えている。初回の音楽祭だったが、来年度も何か新しいものに挑戦し、来場される方に楽しみにしていただけるよう発展させていきたいと思 う。


「ただいま餃子準備中で〜す」


ジャズに酔いしれながら


じっと見つめる視線の先に・・・
 

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