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スパークリングスパークに参加して【2008.04】

デイサービス 中屋 なつき
 

 「悠和の杜」閉店のファイナルイベントで「スパークリングスパーク」と題してシンポジウムがおこなわれた。閉店だから新聞記事にも載ったように「残念」とか「頓挫、肩を落とす」なんてとらえ方が一般的なんだろうけど、全くの逆!なんだかモリモリと熱い気持ちが沸き上がってしょうがない!って感じのイベントだったのです!

 ワークステージ支援員の、米澤の活動報告は、私が留学でいなかった一年間に起こった、杜のいろんなエピソードが紹介された。店で活躍したワーク利用者の顔、姿。職員も共に奮闘する中で、一人一人の成長の様子が生き生きと伝わってきた。
 自分が一年「銀河の里」を離れていたと思えないほどリアルに伝わってきた。店は閉店の形を取るけれども、これはぜんぜん終わりではない、まだまだ物語は始まったばかり!杜をやって起こってきた出来事や利用者の成長に引っ張られながら、さぁ、次の作戦を!と、なんだかみんなに対する感謝の気持ちとやる気とで体が熱くなる。
 シンポジストは、偶然?!なのかどうか、女性ばかり4人ズラリと並んだ。黒一点は進行役の理事長。客席に男性陣。田舎では滅多にないだろうこの図式にそれだけでワクワクさせられる。出てくる、出てくる、迫力満点の話!現場の生の声!これこそ女性の力だ。
 店の取り組みとその意義を、長年の経験から論理的に的確に、経営面の課題を探りつつ語ってくださったカナンの菅生さん。お客さんとしてもお付き合いしてくださった滝田先生は、特学の生徒さんと向き合う戦いの日常を人間的魅力たっぷりに紹介してくださる。障害者の事件を多く担当している弁護士の佐藤倫子先生は、店の特性酢豚の大ファンで常連のお客様として応援してくださり、「まだ応援しきっていないんだからやめないでほしい」と心強い励ましをいただいた。認知症ケアの著作もあり、障害者関連の番組も手がけておられるNHK解説委員の小宮さんは、当日ほとんど飛び入りで、東京から来てシンポジストの席へとハメられてしまった!
 この四名に共通して感じられる事は、男性社会の最先端で活躍し実績をあげながら、女性としての自分をしっかりと生きることで、最終的には豊かな女性性で勝負をされているところだと感じた。失敗や一筋縄ではいかない出来事もマイナスとは捉えず、次のステップとして大切に見守ってくれる眼差しがある。「美味しかった。閉めるのは本当に惜しい」と自分の店の事の様に悔しがってくださったり、「利用者が育っている姿が嬉しい。ここでくじけないで!」と声も。女性ならではの「育む」姿勢。体感的なリアリティは、男性社会の他人事に乾いて聞こえる意見とは対照的で実に興味深かった。
 私が個人的にも印象に残ったのは、いつも論理的で父性的な社会に通用する話を展開される菅生さんの一言。(直情型べらんめいタイプの私にはとってもカッコ良く見えてあこがれちゃう!) 米澤の活動報告で、利用者と社会に出て行くとき「利用者を守っているつもりが、むしろ自分の身を守るために彼らを利用してしまってはいないか?」という葛藤の中で自身も鍛えられてきたとの話に触れたときだった。それまで菅生さんらしい現場の戦士の語りの最後の最後、言葉を切り、無言で一瞬空中に目線を上げ、ためて一言・・・「がんばっておられますね」と言われたのだ。その1〜2秒の「間(ま)」に、一瞬言うか言うまいか迷って、それでもやっぱり言って下さった励ましの言葉と私は感じた。事業を抱え、社会で勝ち残りをかけた戦士として戦いながら、その奥には豊かな女性性が充分に脈打っていると感じた。菅生さんのその一言だけは会場全体ではなく米澤に代表される若いスタッフに向けて届けてくださったと思った。
 授産施設立ち上げにあたって見学に行ったカナン牧場。あのとき、プロジェクトXを垣間見たような菅生さんのお話にパワーをもらって、勇気を振るい起こされた。何かが生まれてくるとき、あるいは成長していくとき、そこを支え育てる力(母性と呼ぶ?)を秘めた父性・・・って感じ!これこれ!こういう姿を見せてくれる大人に出会えたことが感動!


 店という形で、利用者と一緒に街に出てみてわかったこと。やらなければ出会えなかった、たくさんの人と出来事そのものが収穫で成果だった。感謝と新たな挑戦への意欲に武者震いするようなシンポジウムだったのです。
 

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